「赤毛のアン」紀行⑤
4日目 モードの島に上陸!
いよいよこの旅の目的アンの島PEIへ渡る。 6:00 起床 6:30 朝食 7:45 荷物出し 8:30 ロビー集合 9:
00 シェラトンハリファックスホテルから出発。
バスでこのまま ハリファックスからフェリの出るカリブー迄行って、バスごとフェリーに乗ってPEIへ渡るのだ。
フェリーが出るまで1時間もカリブーで待ち時間があったが、待合室の外は何も無い荒れ地だけで、小さなインフォメーションで地図等もらい、
出発までの時間をもてあます。期待ばかりが・・・
11:30 バスに乗ってノーサンバーランドフェリに乗船する。バスから出て船上へ。今から1時間15分の船旅であの島を見られるのだ。
ノーサンバーランド海峡を渡っていく。甲板へ上がって目を凝らす。低い島が見えてきた。山はない。水平線に平らな赤い線。
そこに緑が入ってきて…本当に赤い島なんだ!前日島には雨が降ったとかで水が少し濁っていますとガイドさんの説明。
その分その濁りまで赤くて、上の方の透明な水を通して海底や島の赤土がよく見える。海岸線は非常に入り組んでいて、川か入江か?
池のようでもあり、まぎらわしい。だからか燈台があちこちにある。
白くて赤い可愛い屋根が付いたもの、小さな小屋が付属しているもの、塔だけのもの。船端に立った皆の顔が笑っている。
10歳の私が アンと同じ心で見たこの島
40年の時を経て この目で眺む
心に見たより 島は低く
心に写したより 空は高く
心に描いたより 緑は濃く
目に染み入る赤き道の島
10歳の私が 心の中でいつも語りかけた友
何年も共に歩み 共に愛せし人々
口の辺にさび付いた笑みを浮かべるマリラ
ばらの花の頬のダイアナ
}茶色の瞳踊るギルバート
マシューが馬車を進める赤き道の島
50歳を越えた私が今みるこの島
どんなに日月を隔ててもどんな歳月をも飛び越えて
この赤き道を歩めば10歳の私にたどり着ける
モードの島は私の島
PEIはカナダで「セント・ローレンス湾の庭」と呼ばれる程の美しい風景を見せている。昔昔、インディアンのミックマック族の神、
ブルスキャップが夕焼け空の茜に筆を浸して、この島を染めた為赤土になったと言う伝説があると言う。茜の赤、マリゴールド色の赤、
アンの髪の赤、赤い島へ上陸。
12:45 PEIのWood Ilannds 港到着。今日の現地ガイドの増田さんは結婚してキャベンディッシュ近くのノース・
ラスティコ村に住んでいらっしゃる方だそうで、彼女がバスに乗り込んできて、さぁPEI観光に出発。
まず、19世紀後半の農村を復元したオ―ウェル・コーナー歴史村へ行く。
着いてすぐの昼食はここの広場でのピクニック・ランチ。
コーナーのレストランからバスケットに入れて小太りのいかにも健康的なカントリー・ガール?が運んできたサンドイッチ・レモネード・リンゴ・
オレンジ。
赤や青の格子縞の華やかな敷物を引いて…。
「アンの初めてのピクニックを思い出さない?」
「池があれば完璧ね。」
「アイスクリームが無くちゃね。」
真っ青な空に快適な気温、光は輝いて…だけど風が強くて、立つと敷物はすぐもっていかれる。
モードの物語は風の描写が多いからあのピクニックもこんな日だったかもね。赤い髪をより一層赤くふき乱してアンは楽しんだんでしょうよ。
広場の真ん中では町の人々が集まって運動会の様なものをしている。小さな町らしく独立記念日の催しらしいのに人も少なく、
大家族のピクニックみたい。ひょっとして、もつれた蜘蛛の巣の一族が集まるとあんなかも?馬車に乗ったり、ポテト袋に入って競争したり、
楽しげだけど、観光客には慣れているとみえて、ほんの横手で繰り広げられている東洋人の団体のピクニックにはまるで関心を示さない。
食事の後(アー忘れていた、ちゃんとアイスクリームもでましたよ)村の小学校を見学。
アヴォンリーの学校もこんなワンルームハウススクールだったのでしょう。みっともない?ヴィクトリア女王の写真もあるし、鞭も置いてある。
アンの割れた石板も、達磨ストーブまで。村の雑貨屋には当時の扮装で一家族が店番をしつつ説明をしてくれる。
通訳をし終わるとガイドさんは素に戻って、いかにも顔なじみと思われる店の奥さんと雑談を始めた。
丁度いいのでまるでアンドリュースのおかみさんみたいな奥さんと赤い頬の息子さんに一緒に写真を撮らせて貰う。台所の大きなクッカ ―
ストーブが面白い形をしていて合理的なのが興味深い。シルバー、ブッシュのジュディもいつもこの傍らに座って、
スープをかき回していたんだろうね。アンもここでタフィを練ったりしたんだ…鍛冶屋の屋根には鉄床の風見、そしてミセス・
アランが白いドレスでにこやかに出てきそうな可愛いらしい村の教会。訪れる人をアンの村にタイムスリップさせるようだ。
3:15 再びバスへ。途切れる事を知らない舌?好調の増田さんのガイドを聞きながらシャーロットタウンへ。
今日はシャーロット・タウンは通り過ぎるだけだけど…と言いながらコンフェデレーションセンターの前で下車。
ここには連邦会議百周年を記念して建てられた、劇場、図書館、アートギャラリー等が入っている。そう、
明日ここでアンのミュージカルを見る事になっているのだ!この並びのプロビンスハウス(州議事堂)、向かいのセント・ダンスタン・
バシリカ教会等を一回り。バシリカ教会は建物の前後に全く違った様式の塔を持つ面白い建築物だった。
観光客を乗せる人力車を引屈強な女子大生を大勢見かけた。夏のアルバイトだそう。
そして観光客の為に当時の市長夫妻の扮装で町を歩いている二人を見つけ早速記念撮影。
誰とでもにこやかに写真に収まる二人もその他の市民に扮している人達も皆アルバイトなのかしら?
花がいっぱいで当時の服装の人々がにぎやかに歩き回るこの町の観光シーズン真っ只中の明るさが楽しかった。
17:00 キャベンディッシュ 到着。
今日の宿、キンドレッド・スピリッツ・カントリー・インはきれいな大きい民宿といった感じ。二棟あるうち後ろの棟が私たちの宿舎。
名前が示す通り外も内も少々少女趣味の可愛らしい宿だ。
夕食は19:00からここの前庭でバーベキュウだというので、この家の息子さんが息を弾ませて荷物を部屋に入れてくれるや否や、夕方の…
といってもまだ充分明るい‘‘アヴォンリー“散歩。どんなにこの時を楽しみにしていたことか!
宿の横はゴルフコースになっていて(18番ホール)そこを気を付けて横切ると、あのグリーンゲイブルスの横に出る。
もう時間外でグリーンゲイブルスへのゲートは閉まっていて建物の近くには行けないので裏手からたっぷり眺めて、後は明日のオタノシミ。
ゴルフ場に沿って木立が残っていて、そこからLover‘sLane、 Balsam Hollow、 Haunted
Woodと歩いて回る。唯一ご夫婦参加の田中夫妻も、母娘参加の八幡さんも三々五々楽しんでいる。道に沿って、
ここの植物や鳥等の説明板があり、アカディアン・フォレストとかバルサム・ホロー・
トレイルとかの文字とモンゴメリーの様々の年代の写真が出ている。今もまさにモードの道だ。
木々の下は小川が流れ巨大な羊歯がイッパイ。でももうここは森ではない証拠に木々の隙間からゴルフ場を行くカートが見え隠れしている。
いつまでこの森らしい風景を維持出来るのだろう。そう言えばガイドさんの話の中で
「この島にはもうリンゴの果樹園と言うものは残っていません。」と聞いてショックだったのだ。きんぽうげがいっぱい風に揺らぎ、
名の知れぬ白い小さな花が咲き乱れている。先ほど車からはマーガレットやルピナスの原がそこかしこに見られたけれど、
今この島には17のゴルフ場があり、来年には22になるという。この島の自然もどんどん人工的な物になって行ってしまうのだろうか?
赤土の道も…アンがマシューと初めてたどった丘を登り下りして続くあの赤いリボンのような道、リンド夫人の住む窪地も?
今なら何とかモードのPEIに間に合ったかな?
19:00 キンドレット・スピリット・カントリイー・インのオーナー、二人の娘さん、
近所のおばさんで準備してくれたバーベキューデイナー。この宿は基本的にはBed&breakfastだけれども今夜は特別にご厚意?
で用意してもらいましたという添乗さんの挨拶で、乾杯。サラダ、パン、大きなジャガイモをアルミホイルで包んで焼いたもの
(半分以上は焦げていたけれど)、あぶりにくを大きなナイフで削いでくれて(固かった!)、メインは大鍋で目の前で茹で上げたロブスター!
溶かしバターを漬けただけで食べるのがおいしかった。
それにナント、ガイドさん差し入れのおでん。 PEIでよもやおでんを食べる事になろうとは!?
そして最後にカナダデーのお祝いの国旗を模した大きなケーキにナイフを入れて。ゆっくりした夕食の後で、今日最大の難問が…
余りに違う二つのベッド。超巨大お姫様仕様ピンクの夢心地ダブルベッドとお付き女用ソファベッド。争い苦手な?私は
「こんなに大きなベッドだもの二人で寝ましょうよ…」とまずは言ってみる。返事は聞かなくても解っていたんだけど、長い付き合いよ。案の定
「駄目っ!私はじゃんけんで勝つ!」
自信のある方がやっぱり勝つんだ。でもこの負けは大きいよ、絶対見る夢が違うもの…
あーぁ、しょうがない、睡眠薬を飲んで夢など見ないで寝ちゃうものね。というわけで、
明日モードのしていたキャベンディッシュ郵便局でグリーンゲーブルスの消印を押して貰って出す為に絵葉書を書いて気分転換。
寝るのが素早い彼女の歯ぎしりを聞きながら友達5人に絵葉書を書き上げる頃には、もう眠くて眠くて。公平の為に書いておくけれど、
私も睡眠薬を飲んで寝ると、軽く?いびきをかくらしい。キンドレット・スピリットだなんて…フンだ!8J号室の夜でした。