「赤毛のアン」紀行⑦
6日目 シャーロットタウンからサマーサイド
PEI内見物の一日。シャーロットタウン、ヴィクトリア、コンフェデレーション・ブリッジ、サマーサイド。
6:30起床 、7:00 朝食 、昨晩のレストランでブッフェ。連泊なので荷造りの必要は無し。出発は9:00という事なので、
8時から1時間ほど朝の散歩。
シャーロットタウン・ハーバーの気持ちの良い朝。マリーナにはヨットがいっぱい。ボードウオークをぶらぶら歩いていくと、
ギフトショップやレストランが並んでいる。
カウ(アイスクリーム・ショップ、オリジナル商品もイッパイある)の大きな牛が広場にある。この大きな牛がこの店の目印で、
あちこちにあるこの店は屋根の上に巨大な牛が乗っていたり、このように店先に子供たちが乗って遊べるような大きい牛がおいてあったり、
軒先に牛がぶら下がっていたり。
朝のボードウオークは誰もいなくて、完璧二人占め。海の傍なのに風にちっとも潮の匂いが無くて、
千葉の海辺に住んでいる彼女はこの旅の間中ずうっと「何でこの海は潮の香りがしないのだろう?」と不思議がっていた。
それに風がべたつかないのも不思議だって。彼女はいつもそれで悩まされているらしいのに、同じ海端なのにどうして?
本当にそう言えばその通り、滞在中はずうっとさわやかな風で、磯臭さは全然感じられなかった。

9:00 バスで出発。前日と同じガイドの増田さんが同乗した。
最初の目的地はヴィクトリア村。シャーロットタウンからサマーサイドに向かう道の途中に有る海辺の美しい村。
途中の道はのどかな丘陵が連なり、今は一面デイジーの白い花 。一度止まってデイジーの丘の写真を撮った。花屋にあるデージーではなくて、
小さな花はそそとしてほんの少女のよう。
ヴィクトリア村では40分ほどの休憩時間があって、まっすぐ一本道のメインストリートの両側に可愛らしいチョコレートショップ、
アイスクリーム屋さん、可愛らしいコミュニティ・センター、陶器ショップ、クラフトショップ、喫茶店などが並んでいる。

リンドのおばさんが窓辺に座って縫い物をしながら道ゆく人を見張っているのに最適な道。家と家の間には勿論塀なんて無い。赤い道があるだけ。
この道をぶらぶら端まで歩いて行ってから帰ってきて、アイスを食べてお土産屋さんを見て…
なんて言いながらアイスクリーム屋さんで注文しはじめた仲間を尻目に、道の終り(ここから先は野っ原が広がっているだけだもの…)
迄行ったら、そこにはとても可愛らしい喫茶店があってナント思いっきりふくふく膨らんだおばさんと眼があってしまって、「あっ、レベッカ・
デューみたい」と思ったら、つい一緒に写真に入ってと頼んでしまった。
添乗員さんが丁度来合わせて、写真を撮ってくれたのはよかったのだけれど、私たちだけならろくにしゃべれないから「写真撮らせて?」
以上の会話はなりたたなかっただろうけれど、彼が来たおかげで話が始まって「ここで是非お茶飲んで行って下さい。」って言っていますよ。
これも何かの縁?で、中へ入ったら、これが予期したよりもズーット可愛いしつらえで、紅茶の種類もいっぱい。お茶とカップを選んで
(私は夏の木の実のティーsummer verriees tea―と黄色の花のカップ)、可愛らしい息子さんが給仕してくれて、
思わぬゆったりとした時間を過ごしてしまった。
例によって?「わ、後15分だよ!」と言いながらも、隣りの陶器やさんでショッピング。奥に窯があって作っている様で、
柔らかいくすんだブルーと緑とベージュの陶器類が並んでいる。私はブルーヘロンとアシが浮き模様になっているグリーンの湯飲みを一つ見つけ、
彼女はベージュにカタクリの花模様の一輪挿しを買い、後は走ってバスに飛び乗った。
後でなんで同じ模様のブルーのも買って置かなかったんだろうと後悔。 だって私達は今PEIのブルーヘロン・
ドライブルートにいてこの鳥はこの島の鳥なんだもの…。

次の目的地はゲートヴィレッジ。文字通りPEIのゲート。本土と繋がるコンフェデレーション・ブリッジのたもとにある村。
シンプルなただ長~い橋がずーっと続いて先の方が私の目では海の中に消えている。この橋は全長13キロメートルで、ニュー・
ブランズウイック州のモンクトンとPEI側のボーデンカールトンを結んでいる。

この町の外れ、橋のたもとをゲートヴィレッジというらしい。

すぐ近くのセブン・マイルズ教会は白に赤がきいて、PEIの灯台カラーみたいだけど素敵だった。
橋の近くにあるキャベンディッシュ・フィガリーン(人形工房)へ寄った。ここはアン関連の人形やその他多数の種類の人形を製作販売していて、
製作の過程を見学説明してくれる。勿論、ゴグとマゴグの複製も有るし、アン、マリラ、マシュー、ギルバート、ダイアナ…
と人形も大小色々あるけれど、困った事に皆イメージが違う。
私の心の中に出来上がっているイメージは大本の処に少年少女文学全集で親しんだ挿し絵がインプットされてしまっていて、せっかくなので何か…
とは思うのだけれど、どうにも接点が見付からない。
このお店の中にアンの扮装で写真を撮らせてくれるコーナーがあって、
アンの緑のジャンパードレスと麦わら帽子やマシューの作業着等を無料で貸してくれて、自分たちの写真機で撮ってくれるのだ。
最初「恥ずかしい恥ずかしい…」と、しり込みしていた皆だけど、加藤さんだったかしら?一人がやると言って着たらわーっと皆着はじめて、
結局全員が撮ってもらったみたい。一人旅の男性中村さんがマシューになって皆の写真に引っ張りだこだった。きっと旅の後で、
これは皆のとても思い出深い一枚になった事だろう。
12:00 昼食はサマーサイドのB&B ロイヤリスト・カントリー・インのレストランで。食事は特別なものはなかったけれど、
食後のアイスクリームはおいしかった。

食後暫く時間があったので、ここのギフトショップに寄ったら、彼女と全く同時に同じ赤のコートに目がとまって、「東京と千葉だもの。
これを着てバタッと会う事もないだろうから御揃いでもいいね。」という事になって、二人で同じコートを買ってしまった。
リバーシブルで裏の紺を着てもいいのだけれど、この赤がとても綺麗。すそに裏地と同じ生地でヨットのマークが入っている。
ハンドクラフテッド・オン・PEI・シーシェルデザインとロゴがあってお店の名は「LCJホールディングス」だった。
まだ時間があったのでサマーサイドワーフを散歩。ヨット・マリーナ、可愛い例の灯台、赤い海岸。
午後はサマーサイドの郊外、コンウォール村に有る一般のご家庭を訪問という予定になっている。
一般家庭と言っても今年のPEIのガーデンコンクールで一等賞を取ったお庭のある家という事で、殆どの奥様がたは楽しみにしていたようだ。
Erine・Jones(ご主人)Sandi・Jones(奥さん)夫妻のお宅。ご主人はもうリタイアして、家事と庭仕事に精をだし、
奥さんはサマーサイドの花屋でパートタイマーをしているという。友人のバーバラさんと娘のタミーさんとその夫の5人が迎えてくれた。
子供たちが巣立って普段は二人だけなので、空いている2階を3室程の民宿にしたのだそう。その広告もかねての一般公開?のようだった。
民宿の部屋と言っても居間と寝室の2間続きで、とてもセンスよく居心地よく作られていた。トイレと浴室は共用なのだけれども、
本当に可愛いのですもの、若い人だけでなく女性にはきっと受けるでしょう。
アンのクッカー・ストーブとは違って最新のシステムキッチンの天井からはそれこそぎっしりドライ・
フラワーがカラフルに垂れ下がっていてそれは見事でした。様々な色なのに皆自然の色なので、とても優しい雰囲気を醸しだしていました。
どの部屋も花柄のソファ、壁紙、クッション、飾り陶器が氾濫しているのにも関わらず、暖かい居心地の良さがあって感心しました。翻って、
我が家の雑然として潤いの無い事!
紅茶、レモネード、手作りクッキーのティタイムの後「お庭を自由に見て歩いて下さい。」

ゆっくり過ごさせて貰いましたが、虫除けスプレーにも関わらず、皆さんたっぷり蚊に刺されたようでした。
私も首と顎に大きな丸いかゆーい赤い腫れができて…森の中とまでは行かなくてもこの林の中の生活は蚊に随分悩まされていることでしょうね。
庭もごく自然で人工の手を感じない、整った美しさとは全く対極のものでした。本当に田舎の庭で小さな花々はたっぷりあるけれど、
とりわけ素晴らしいバラがあるとか、色のグラデーションが美しいとか言うのではないから、
ガーデニングを見ようと思って意気込んで来ると肩透かしを食うかもしれませんね。
「風雅な昔風のお庭ね。」と言うべきでしょうね。パットとスザンヌの誤解事件のようにならないように。村岡花子さんの翻訳ではスザンヌが
「風変わりな庭」と言ったと聞いてパットは怒りに燃えたのでしたが、スザンヌは本当は「風流な昔風の庭と言ったの。」でした。
このJonesさんの庭をぶらぶらしながらそんなことを思い出しました。花丈を揃え、花の配色を考えて整えたような花壇も、
白い貝殻でジム船長が飾ってくれたような花壇があるわけでもなく、大体花壇と呼べるようなものはないのですが、
庭の小道のあちこちに小さなささやかな花が顔を出しているというお庭でしょうか。
庭に区切りがなくそのまま奥の林に流れ込んでいるといった趣の。
それにしてもモードのお話では誰も蚊に悩まされたことはないようですが、「自然を堪能するなら蚊ももろともに!」
が当たり前と言うところかな。風流も大変!とにかくバーリー家の華やかな庭の描写には当てはまらないし、それにスーザンの庭にも、
マリラの塵ひとつない庭にも。そうねぇ~「青い城」の島の庭なら当てはまるかしら?
この家の玄関前でこのツアーの最初で最後の集合写真を撮りました。むくむくの白い犬も写真に入って、「ああ、
この真っ白い犬と真っ黒の大きな猫がいたことも忘れないわ。」
17:00ホテルに戻る。
「まさか又このホテルのまずいお食事じゃないわよね?」
「えっ、まさか?」「せめてロースターがご機嫌ななめじゃなければ…」
「最初っからカナダでは期待しないで下さいって言われているもの、ここのことじゃないの?」
などと皆密かに囁き合っていたけれど、結局Water St、沿いの海岸近くのレストランと聞いて皆チョット、ホッ!
「19:00にレストランMacknon‘sに集合して下さい。又ご一緒に行きたい方は、
10分前にロビーにお集まり下されば引率して行きます。」と添乗員さん。
私たちは勝手に行きますと伝えて、自由行動。 Queen Stのカウズでガイドさんに教えてもらって一番小さなサイズのアイスクリーム、
「キディサイズ」のバニラアイスを買って、通りのベンチに座って食べてから、御隣のジ・アン・オフ・グリーン・ゲーブルス・
ショップでお土産を物色。
カウズにはとてもカラフルな可愛いデザインのTシャツがイッパイあってとても心惹かれたのだけれどもあれを東京の街でどう着るの?
ダイアナを酔わせたイチゴ水?アトッサおばさんへ届けたルーバーブのゼリーならぬジャム?
人形やアンデザインのシャツ類はチョットねという人もこんなお腹に消える物ならね。

それからガイドさんの説明にあったシャーロットタウンの富裕層の豪邸の立ち並ぶ一角へ行って、それぞれにミセス・
バリーのぶなの木屋敷のイメージに合 った家を探して遊んだ。お気に入りのこれはという屋敷の 前でこそっと写真を撮ったり、
PEIのアンの絵の付いた車のナンバープレートを写真に収めたり。島の若い人の間から「いつまでも赤毛のアンばかりでも…」
という声が多くなって、最近のプレートからアンの絵が消えたとか。旅人としてはチョット残念な気もするけど。でも
「日本人が喜んで買っていくからと、時々お土産屋さんに出ていますよ。だいたい2千円ぐらいかしら。もっと少なくなると値上がりするからと、
仕舞い込んでいる人もいるようですね。」とはガイドさんの話。
実際その後で、お土産屋さんで20カナダ$で売っているのを発見。その時は本当に売っていると思っただけで通り過ぎてしまったけれど、
後になって、何であの時買っておかなかったのかしら、一番いい思い出の記念になったかも知れないのに。
誰かこれから行くのなら私に一枚探してきてね。旅先では迷ったらとりあえず手に入れておくのが極意かな?

旅では欲張るくせに、結局は旅人として「うかっと?」通り過ぎてしまうのね。そして何を見、何を得たかは後になって気が付く事が多いのね。
それは勿論何を買ったとかではなくて、旅の途上で何を道連れに出来たかという事なのだけれど。モードと道連れになりたくて、
ここまで来たくせに、気がついたら「何を手に入れたか?」にすり替わってしまっている。つまりただのお調子者の観光客にね。
物に思い出 を作ってもらおうと言うわけでは無いでしょうに、おかしいわ ね。モードやつまりアンやパットやエミリーが吸った空気を吸い、
愛する彼女たちが吹かれた風に吹かれ、見つめ育て摘んだ草花の香りを感じ、同じ潮騒を聞き、同じ道をたどり…という事が願いだったのに。
「買い忘れたものが有る!」…なんてガッカリしたりしている。
島から果樹園が無くなった事を悲しみ、輝く湖水が輝かなかった事にガッカリし、赤い道を蹴って赤い砂埃に笑い、ブリーデイング・
ハートの可愛い赤い花の重みを手のひらで受け、モードの花嫁衣装の小ささに親しみを感じ、
モードの郵便局で葉書に押してもらった消印をアルバムに挟み込み、小川のきんぽうげにマリゴールドの笑い声を聞き、
白樺の林の向こうにパットの背中を探し、キャベンディッシュ砂浜に寄せる波にアンが裸足でくるくる踊る様を思い、
グリーンゲイブルスの横でゴルフをする人にため息をぶつけ、リンドのおばさんの窪地を見つけて騒ぎ、ぶなの木屋敷?の前でミセス・バーリ―
の恐怖の夜を笑って、「あんな可愛い灯台からジム船長が出てくるなんて思える?」なんて話したりして…こんなことがイッパイあって、
これが私の旅だったのだ。
港の方に戻ってきたら、ヨット・ハーバーにあるカウズのお店の前の巨大な牛に可愛い男の子の兄弟が二人で乗ってはしゃいでいた。
可愛いので思わずカメラを向けたら慌てて滑り降りてしまった。悪い事をしたわ。
18:50 マックノンズへ。時間通り。魚介のオードブル、ポテトのスープ、舌平目のソテー、サラダ、レモンメレンゲのケーキ、紅茶。
解散後もまだ明るい街をぶらつきつつホテルへ。
23:00 昨日と同じ部屋でおやすみなさい。
グリーンゲイブルスの消印付きの葉書は私が帰ってから3日後に無事私と皆さんの元へ着きました。友達はあの消印に気が付いたでしょうか?
