初めてのパリ!ルパンの街!!④
3日目 パリの昼と夜
今日も予定は盛りだくさん!なのに朝食は、パンはおいしい!、ヨーグルトも美味しい!、コーヒーもおいしい!、チーズも美味しい! フルーツもトマトも皆美味しいんだもの・・・私はチーズを、彼女はベーコンを山盛りにしてくる有様。
朝食に時間がかかって,6時に起きても出かけるのはやっと8時半!
今日からはいよいよパリビジョン3日券
(バス・地下鉄乗り放題)とカルト・ミュゼ3日券(美術館見放題?)を駆使するパリ見物だ。
元ワイン倉庫のレストラン街の朝を縫って、M14のクール・サンテ・エミリオン駅から終点マドレーヌ駅下車。
M12に乗り換えてソルフェリーノ駅からミュゼ・オルセー駅下車。
「カルト・ミュゼ」を使って、団体入り口から並ぶことなく入城。
荷物をクロークに預けて振り返れば、本や写真でおなじみのあの時計!
今日はここでたっぷり楽しむつもり。どことなく上野駅を思い出す感じなのも元駅舎だからでしょう。
開けっぴろげな空間の佇まいが懐かしいような感じで目に飛び込んでくる。
溢れるような彫刻郡が心を浮き立たせる。
見たいものの宝庫だものねぇ、ここは。
入り口で「オルセー美術館御案内」と書かれたパンフレットを貰い、見始める。
1948年から1924年までの作品が所蔵されている。美術の教科書で見た作品が目白押しなのだから、1室ずつ丁寧に見てゆきたい。
でも、こんな美術館でこんなに見てしまうと・・・結局はこうなるのよ。
最初こそ「ほら、アングル!泉よ。教科書の。」「ドラクロワよ!」
「ミレーがあるよ。」「うちのお父さんこのルソー大好きなのよ、何でだろぅ?」
と、言い合って、そのうちに「おお、ルノワール!」「ゴッホだ!」「こんなにセザンヌが!」「マネのあの絵よ。」心の中で叫ぶだけにし・・・ 挙句の果ては、ロダン・カミーユ・クロデール・ブールデル・マイヨール・・・と作家の確認作業になってしまって、 心の感動も目の至福もどこかへ行ってしまったんじゃなかろうか?楽しみにして、 見たいものを指折り数えてこの日を迎えたのに。
「何度も来たいなぁ。」
この頃には、お昼回っているのに・・・ここでお昼を食べる予定なのに・・・案じていた通り。お腹の片隅も空かない感じ。
「ほら見たことか!」
諦めてソルフェリーノ駅まで歩き、M12でコンコルド駅乗り換え、M1でシャルル・ド・ゴールエトワール駅下車。 地上に出ると凱旋門が目の前。
「中に入って登るなら地下からアクセスだよ。」
「こりゃ、外から見るもんだよ。シャンゼリゼ歩きながら見りゃいいよ。」
後で思うに、やはり登って見るものですよ。放射状のパリの「要」なんだもの。
銀座を歩くのとは訳が違う。道が広いから歩いている分にはそこそこ人が居るけれど、混んでいるという感じはない。
「リドがあるよ!」
「フーケッツ通り過ぎちゃうよ。」
私の密かな望みは「ラデュレ」でしたが、それでもお腹がすかないので諦めはついたのですけれど・・・「やっぱりマカロンかわいいよねぇ。」
「あんた、これからノートルダムへ行って、ムーラン・ルージュへ行くんだよ。今買って、1日中持って歩く気じゃないでしょうね?」
と、ここも素通りですよ。
その少し先まで歩いて、ブランド物には興味にない二人の事、フランクリン・ルーズベルト駅からM1でコンコルド駅まで。
コンコルド広場のオベリスクの前に立ってロワイヤル通りの突き当たり北にマドレーヌ教会を見、コンコルド橋を通して南にブルボン宮を見る。
まるでローマのようだ。広場の噴水もローマっぽい?
チェルリー公園の門を入って「そろそろ何か食べる気になった?」
「うん、そろそろ食べて置かないと8時からムーラン・ルージュのディナーだから・・・軽~くね。」もう午後の2時半でした。
ここだと「アンジェリーナだね?」西銀座にもあるんだってことにはこの際眼をつぶって。
リボリ街の「アンジェリーナ」は7・8人待ちながら
「店は広いしテーブルはぎっしりだし、すぐ空くでしょう。」
「それにしてもパリのカフェ、どこもかしこもテーブルこんなにぎっしりで、よく平気だねぇ?」
「モンブランとパン・オ・ショコラ食べたい!」
「クロック・ムッシュ食べたい!」
「じゃぁ、3つを半分っこでどう?」「OK!」
少しユックリとした時間が心地良かったですねぇ。本当言うと、モンブランはうちの近くの「ラビドス」の方が美味しいくらいだけど、 ここの店の雰囲気や様々な色の髪の毛のゆったりと楽しんでいる女性たちのかもし出す香りがプラスアルファになって、 たまらないひと時になるのでしょう。
父としてのルパン!ジェヌビエーブが閉じ込められたこのリボリ街・・・「813」の恋模様が紅茶の香りの向こうに漂う豊かなひと時?
店の前のチェルリー駅からM6でオテル・ド・ヴィル駅下車。パリ市庁舎を振り返りつつアルコール橋を渡ってシテ島へ。サン・ ルイ島もちょこっと見えたし、反対側にはノートルダム橋、シャンジュ橋が見える。アルコール橋を渡りアルコール通りを真っ直ぐ行けば、 ノートルダム大聖堂に出るはず。
本当に「出ちゃった!」という感じで、一寸すすけた感じの淋しい色合いでノートルダムが立ち上がっていました。
ユゴーの「ノートルダム・ド・パリ」「93年」大昔の記憶が甦る。
前から見た正面の端正なバランスはぐるっと横手から裏側に回ると一変する。
正面からでは殆ど見えない先頭が黒く鋭く天に突き刺さる勢いで聳えているし、飛梁が異様な様相で跨っている感じだし、
キマイラがあちらこちらからキマイラらしい顔を覗かせているし、「これがノートルダム・ド・パリだ!」
中に入るとその薄暗さが中世を感じさせるよう。外から見て確認したあの薔薇窓が全く別物のように華やかに浮かび上がっている。 その薔薇窓は写真などで見ると「その精巧な美しさは比類がない!」と、思われたのだが、 実際に中に立つとその下の諸王のステンドグラスに華やかさで気圧されているようだ。
3つの薔薇窓、クストゥのピエタ像、(なんと?)跪いているルイ14世の像を見て、塔への上り口に行くとそこは長蛇の列。 時間とにらみ合って諦める。
聖堂の裏手のジャン2世広場は紫と黄の花の花壇がとてもきれいだ。ダントン、 マラー、ロベスピエール・・・あの3百年前、パリにしみこんだ偉大な幽霊たちの群れが、 ノートルダムのこの花の渦巻く公園の陽だまりに蹲って午後を過ごしていた多くの老人たちの今を作ったのだと思うと、 歴史ある町のただの通りすがりに過ぎない私たちまでが不敵に生き抜いていくこの街に魅せられ虜にされていく様な気がした。
秋の陽射しの下、セーヌの川岸を歩いて、警察庁の横を通って、サント・シャペル礼拝堂へ。 入り口が最高裁と同じで分かり難く厳重な荷物チェックがあった。
サント・シャペルの1階はただの薄暗い部屋で、階段を登って2階へ行くと、そこは様々な色彩の光の世界で、
本当に美しく光の最高の芸術を満喫した思い。想像以上に素晴らしい光の渦、
色彩の氾濫の世界。子供の頃の万華鏡以来の?目くるめく時を楽しんだ。
左側の下に座って右側のステンドグラスに見ほれ、右側に座り込んで左側のステンドグラスにため息をつき、無言で居るうちに時間が飛び去り、 慌しい旅人気分を取り戻したのはどのくらい立ってからだったのだろう?
コンシェルジェリを覗き込み、ここで最後の時を過ごしたカペー未亡人と呼ばれたマリー・アントワネットを偲びながら、
時代に劇的な生涯を送らされた人々の事を思う。
シャンジュ橋を渡り、セーヌの右岸をコンシェルジェリの黒い円錐形の塔を見上げながらポン・ヌフ橋まで歩く。ここでもユゴーの「93年」 に出てきた人々やディケンズの「二都物語」の中の人々の事を思い出していた。
直ぐ向こうのリボリ街でルパンやポアロを思い出していたのとは正反対のパリ!美しいパリ!恐ろしいパリ!そしてさぁ、 夜は浮かれもののパリだ!
ポン・ヌフからM6でチェルリーまで戻り、みゅうバスセンターへ。
6:15集合のムーラン・ルージュ・ディナーショーに予約してある。
ムーラン・ルージュは凄く混んでいて、帰りの集合場所を何度も念を押されて入場。
シャンパン付きのディナーは「ぺけ」だったけれどショーはきれいだったし、楽しめたし、楽しい一夜だったことは確か!
十時半終了。
夜のムーラン・
ルージュ・ディナー・ショーは行った事のある友人達の賛否両論が真っ二つで本当は迷ったのだけれど、映画の目くるめく面白さや二コール・
キッドマンの美しさの記憶もまだ新しく、
「パリの夜の一つの面には違いないんだから、とりあえず見てみようよ。」
「どっちにしても、見なきゃ意見は言えないよ。」
まさに一つの面で、それはそれで楽しめましたね。
「普通の奥さんが東京の夜にこんな娯楽の殿堂に行けることなどまず無いのだから、大手を振って体験できる時を逃す手は無いよ。」
我等の物見高い心が満足!
帰りは方向別にワゴンで送ってもらう。モンマルトルからパリ市内は大渋滞で大回り・
・・おまけに道を間違えてくれて深夜の大?ドライブ。
私たちにはラッキー!パリ郊外の夜景を楽しんじゃいました。シテ島の昼と対照的に浮かれもののパリはきれいでした。
「シンデレーラ、シンデレーラ!黒い瞳のシンデレーラ!」鼻歌も出ようと言うもの。
ウフッ、今夜も楽しい朝帰りでしたねぇ。