初めてのパリ!ルパンの街!!⑥
5日目 モンマルトル散歩
パリ最後の日。
目覚めればなんと8時!「うーん、もったいない。」とは言っても、そろそろ疲れも出てる?今日はこのくらいの余裕はあるよ。
ゆったり朝食、荷造り。チェックアウト。荷物をホテルのフロントに預けて出発したのは10時近くになってしまった。
でも、今日はモンマルトルのために取っておいた一日。夕方までモンマルトルを満喫するんだ。
M14線で終点のマドレーヌ駅まで、M12線に乗り換えてビガール駅まで、又ここで乗り換え、一駅、アンヴェール駅下車。
途中サン・ラザール駅を通過しました。
「あ、降りてみたい!」という衝動。
降りてみたところで「駅留めの荷物の中から死体」なんて世界は私には無縁。
でも、 ロンドンからこの駅に降り立ったポワロさんがオーバーに包まって髭を撫でているところなんかをつい想像してしまう。
パリの駅は皆テルミナ(ロンドンもそうだね?)、なんか風情があるのよね。昔は上野駅にもそんな風情あったなぁ。
アンヴェール駅から地上に出てサクレ・クール寺院を目指す。
真っ直ぐの道を登っていくと、あの真っ白に輝く寺院が丘の上に聳えているのが見える。
両脇にはキンキラの賑やかな色を翻しているような衣料店が派手に並んでいる。浅草の伝法院あたり?を思い出させる。この色彩の氾濫がサクレ・
クール寺院をいっそう白く引き立てるかのよう。
映画「アメリ」で見たのはこの寺院!
私が「良かったよ!」と薦めたので、彼女も旅の前日になんと2回も見たのだそうだ。
ビザンチンの建物を思わすこの寺院は教会としては妙に異質な匂いを放っている。
土曜日だったせいか凄い人出で、サン・ピエール広場からもう人が溢れている。
カルトでケーブルカーも乗れるので行列に加わり、下に広がるパリの町を見ながら登っていく。
「あった!アメリのメリーゴーラウンド!」
映画を見たばかりの彼女の方が嬉しそう。「乗ってもいいわよ。」「いい、いいよ、いい。」照れてるの?
寺院前の高台から見下ろせるパリの町を昨日まで回ったところを確認しながら見下ろしていると、 パリに居る自分がまるで嘘のようで一寸彼女を抓ってみる。
アハハ・・・どちらとも無く笑いがはじける。
ドームに登る列は長蛇・・・「やっぱりね。」今回は諦め。
隣のサン・ピエール・ド・モンマルトル教会をグルッと回ってテルトル広場へ。
夫が数年前パリに来た時はここは画家で溢れていて「(似ていない)似顔絵?」を持って帰ってきたが、 この日は市が立っていて露店で埋まっていた。
「アア・フランス!」と思ったのはワイングラスを並べた店、様々なチーズを山のように積み上げた店、
ソーセージやハムなどをピクルスと共に並べている店、フランスパンもあったし、焼き栗の匂いも・・・。
ワインのグラスを片手にもう片手にはチーズなんていう人が並んで歩いている。
パリのお縁日だよ!
サクレ・クール寺院の前には白地に赤のアクセントも可愛いプチ・トラン。
これでモンマルトルを回るつもりにしていたので、出発を待っていたけれど、動く気配も無い。近くにおまわりさんが居たので聞いてみたら 「今日は朝1回出たけれど、午後は出ないんだよ。」と、教えてくれた。
予定が狂ってしまったけれど、気を取り直してコタン小路、ユトリロ小路を回って、マックス・フルーニー美術館の横を通って「アメリ」
のコリニョンの八百屋を目指す。
実在する「オ・マルシェ・ド・ラ・ビュット」という八百屋がそれだと地図にももう載っている。
実際この八百屋の前に立ってみたら「アメリ」の人気の程が分かった。
「アメリ」のポスターも貼ってあるし、店の絵葉書も売っている。彼女は絵葉書とりんごを一袋買い、
私も絵葉書と真っ赤な房のトマトを一袋買いこんで、「縁日だからいいよね。」とかじりながらモンマルトル散歩を続ける。
世界漫遊の小人も今日は八百屋に?
「絶対野菜はこっちの方が美味しいよね?」
さてお次は「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」
余りに有名なあの絵。流石にここにはカメラを構えた如何にも観光客が数組。
頼まれてご夫婦の写真も撮って上げました。
そこにブラブラ現れた二人のおまわりさんが、何も聞かないのに
「道を聞いても駄目だよ。僕たちは今日はヘルパーで、パリの警官じゃないからね。」とウィンク。思わず笑っちゃいました。
ここからルビック通りを通って「アメリ」のカフェ「レ・ドゥ・ムーラン」へ。
「ルビック通り」だってさ、ルパンの短編にルビックさんって悪い人が出てきたよ。
笑いすぎたり、そんな話をしていたから、ゴッホの家の前を通ったはずなのにうっかりと通り過ぎてしまったらしいわ。失敗。
地図には「ゴッホの家」と書いてあったけれど、弟のテオドールと一諸に僅かな期間過ごした家だろうか。
「アメリ」のカフェ「レ・ドウ・ムーラン」のある通りは賑やかで、カフェも幾つか、美味しそうなパン屋さん、八百屋さん。
かなりの人出に
「いやな予感」と思ったら、案の定。「アメリ」のカフェは満員。
店先に佇む人もわんさか。写真を撮ったり・・・皆観光客なのかしら?
うろうろしていたら「アメリ」のカフェの向かい側のオープンカフェの真ん中、「アメリ」
のカフェの真正面の席がグッドタイミングで空いて滑り込み。ラッキーなデジュネ。
昼のMUNEがタルティーヌ(パリの定番?細長いパン。ホテルの朝食では出なかったので食べてみたかったの)、クロワッサン、 オレンジジュースにショコラですって。願っても無い。
日向ぼっこをしながらのんびり。「アメリ」のカフェを見ながら「かえって良く見れていいジャン?」
でも、本当のところパリのどこにでもありそうな普通のカフェよ。
あの「アメリ」に「レ・ドゥ・マゴ」とか「ラ・ロトンド」とか「ラヂュレ」とかが似合うはずも無い。あのおかしな、 癖だらけの人々の町としてはやっぱりここだよ!
「変人の町?の雰囲気バッチリ味わえるね。」
それにしても私のたった「5日だけのパリ」、天が恵んでくれたような暖かな美しい5日間だったね。本当にありがたかった。
おっと、まだ2時間余りありますよ。ビガール広場まで昼間のムーラン・ルージュを見て帰りましょう・・・
昼間の盛り場は無残なことが多いけれど・・・やっぱり!
それでも 「葡萄畑も、ラパン・アジルも、テルトル広場も忘れてきたよ。」
「テルトル広場は今日は市だから画家が居ないんだよ。」
「そうかもしれないけれど、ひょっとしたらあの奥に・・・って気もするんだ。」
「次回にとっとこ。」
「ほ?次回があるの?」
「当たり前ジャン。私たち左岸に殆ど足を踏み入れなかったんだから。」
「問題は次回が何時か?だね。」
ビガール駅からM12線でマドレーヌ駅まで。少し時間に余裕があるので「マドレーヌ寺院」を見て行くことにした。
地上に出てみたらなんと、昨日のローラースケートの人々とは違って「本物のデモ隊」が寺院を取り巻いていました!
最後までパリは色々な顔を見せてくれました。
だからデモの人の周りをグルッと一周して、まるでローマの神殿みたいなマドレーヌ寺院の外観だけを眺めて、 可愛らしいピンクの日除けに取り囲まれたフォションへ。東京へ帰ればあちこちのデパートでも手に入るけれど・・・と思ったけれどね。 しかも店内はまるで日本のように日本語が氾濫していたし。デパートでは見かけない商品を探して少し買い込んだ。
「ねぇ、私たちいわゆるブランド・ショップに一度も足を踏み入れなかったことに気が付いた?」
「「日本の女」であり得る?」と、言った途端に
「あー、失敗!フォーブル・サントノレを歩くの忘れた!」
本ですっかり御馴染みになっていたのに・・・子供の頃てっきり「フォーブル・サントレノ」だと思い込んでいたあの道。
名前だけ知っていた道のうち一体どれくらい歩けたんだろう?
オペラ通り、リボリ街、イタリアン大通り、ロワイヤル通り、シャンゼリゼ大通り、ピラミッド通り、クリシー通り、ロシュシュアール通り、 マドレーヌ大通り、アナトール・フランス通り、サン・ジェルマン大通りを欠片ほど、フランソワ・トリフオー通り、 後はモンマルトルの小さな路・・・これだけ?たった?
そして最後の地下鉄、すっかり御馴染みになったM14線でクール・セント・エミリオン駅。4:15にホテル到着。
お迎えは4:30の予定だから、本当に上手に時間を使いきったものです。
帰りの飛行機の中では私は熟睡しました。
「寝たら明日から時差ぼけだよー!」と言う声をうつらうつらと聞いていたような。
御蔭で私は2日間ほど時差ぼけを楽しみました。これもパリ土産!
家に着いたらパリで出した絵葉書がちゃんとポストに入っていました。