私のロマンチック街道紀行 ⑤
第4日目 5月29日(月) ローテンブルクの1日
今日は今回の旅行のハイライト!
ロマンチック街道の精華ローテンブルクの価値を思う存分満喫できる1日自由行動日!
こういう1日が旅程に組んであるからこの旅に同意したんですから、張り切らざるを得ません。
タウパー渓谷に行く人は2時にホテルへ集合すれば一緒に行けるということで、放し飼いです。
何しろこの町は小さいし、城壁の外に出ない限り迷子になる心配もありませんし、治安は日本のどこよりもいい!ということですからね。
何の心配も要りません・・・実際そうでした。
朝食は朝6:30からOKというので、朝6:30には朝食へ。
上天気に町の地図と私の情報ノートだけショルダーに詰めて、出撃です。
城壁に囲まれた旧市内は南北が1・ 2キロ、東西も1キロ足らず。
だから「慌てて汗ってばたばたしなくてもユックリでいいわよ。」と、彼女に釘を刺されて・・・彼女にとっては私は前科者みたい。
「あなたと行くと旦那と行くより倍は歩かせられるから、よっぽど覚悟しなくちゃ付き合いきれないけれど、ツァーならその点安心」と、 旅行前から言われていましたが、「その点?今回の心配は今日だけよ。」ですと。
人を何だと思っているんでしょうね?
でも、実はなんと言われようとも、町の隅々まで歩き回る気合十分なんですよ、ナイショだけど。
ホテルはGeorgen通りにあって入り口を出て直ぐ左を見るとヴァイサー塔が聳えているが、
この塔は城壁についている町に入る門塔ではない。町中にはマルクス塔とこの塔がある。街中の物見の塔なんでしょうかね?
そのせいか、私たちのホテルは「城の懐にある」というのがうたい文句だ。
入城門としてはクリンゲン門、ガルゲン門、レーダー門、シュピタール門、コポルツェラー門、ブルク門の6つがある。 シュピタール門からブルク門の下はタウパー渓谷に面している部分で、ここは天然の要害になっている。 がっちり守られた中世そのままの町が今猶この街道沿いに幾つも残っているのは驚異だ。
いわば歴史の落し物が今の観光資源になっているというわけだが、ある意味確かに一大テーマパーク?
この今ロマンチック街道と呼ばれている道は元々はローマから続く軍用道路だったもので、ピアクラウディア・ アウヴスタ街道と呼ばれていたもの。 当時はベローナのブレナン峠越えでローマからアウグスブルクへ軍隊やその糧食を運ぶための道路だったのが、 時代が下がるにつれてハンザ商人やローマの商人等の通商路となり、その後忘れられた街道だと、昨日のガイドさんの説明。
歴史に忘れられたために今こうして海外から私たちのように多くの人がやってくる観光街道。時代の悪戯?
ヴァイサー門をチラッと見てホテルの前の道をとりあえず端っこまで歩いてみる。ひっそりとして人気の無い聖ヤコプ教会を通り過ぎた。
教会も早すぎてまだ入れないし店もどこもまだ開いていない。
可愛らしいホテルの先で城壁に突き当たって、そこが東のどんづまり。
城壁の隙間から覗いてみたが木立が僅かに見えるだけ。
「静かなうちに城壁歩いちゃいますか?」
「半分でいいわよ。」
ローテンブルクの城壁はクリンゲン門からグルッと半周シュピタール門まで城壁の上を歩けるのです。
当然全部歩くつもりだった私は、まず最初の釘を打たれちゃった?
そんなわけで右に行けば直ぐクリンゲン門だというのに、西側のレーダー門から城壁に上ることにして、町の中心まで戻ることにした。
そうしたら、嬉しいことにさっき閉まっていた聖ヤコプ教会が開いていた。
17メートルあるというステンドグラスが圧巻!
丁度朝日の当たる一番いい時間帯に遭遇したらしい。
奥の中央祭壇も見事なものだったが、二階へ上がって見たリーメンシュナイダーの作品は本当に精緻で芸術作品の香りがしていた。「聖血の祭壇」 は聖具というよりも美術品だろう。本で読んでいたように後ろ向きのユダを発見。
なんと(当然?)日本語の「ご礼拝のしおり」があったのよ!
昨夜散歩したマルクト広場で市議宴会館にあるインフォメーションで「いい地図ないか見ていこう?」と、寄ってみたが、 当然ここもまだ開いていない。
それでも流石に広場は観光客が溢れていた。
マルクト広場からマルクス塔を潜り抜けRodergasseを歩いてレーダー門へ。
ここからシュピタール門まで城壁の上を歩く。
石の城壁の2・3階ぐらいの高さに木の廊下がめぐらされていて庇のような屋根が伸びている。
城壁の外は所々開いている銃眼(矢狭間?)みたいな穴からしか覗き見ることが出来ないが、その殆どが木立しか見えない。
最もその木立がとても美しく、金鎖の藤の花のような花房が豊かに垂れているところなどもあったが、 ここからでは旧市内の外側にどんな町が広がっているのかは全く伺い知れない。
でもその内側、旧市内の可愛らしいこと!
殆どが3階建てくらいの木造(木組み)の家々で、うろこの形をした赤いスレート?葺きの屋根が甍の波を繰り広げている。
城壁からの景色はこのローテンブルクの町を本当に美しく見せている。
「この目の高さで町をずうっと巨大になったガリバーみたいにどんな路地でも自由自在に歩きまわることが出来たら・・・」なんて思っていたら、
「本当にこんなところをズーッと歩きたいなんて言うあなたに付き合えるのって私ぐらいね。」ですって。
心の中の科白聞こえちゃったのかとドキッとしちゃった。
なぜなら、門の無いところでも時々階段口があって、そこから上ってきた日本人たち(同じツァーではない)から「城壁ってずーっとこんな感じ? 」って聞かれて「ええ、そうですよ。こんな感じに町が続いているのが見えますよ。」って言ったら、大抵の人が「じゃぁ、 次の降り口で降りよう・・・。」って、降りて行っちゃったんですよ。
「こんな感じに・・・」って言ったのがいけなかったのかな?
「通りごとに違った家々がちゃんと見られて楽しいのに・・・説明が下手だったかな?」
「でもやっぱり町の雰囲気はどこを切り取ってもそうは変わらないからね。皆があなたと同じに精力的で好奇心だらけじゃないからね。」
「飽きっぽくないのが私の長所よ。」
屋根の家や木組みは変わらなくても、綺麗に色を塗り花の絵で壁を飾っていたり、木組みが一風変わっていたり、
大きな家の間に小人の家のようなのが挟まっていたり、すっかり崩れかけてその滅び方が切ない家があったり、
店の看板の面白い図柄が朝日にきらめいていたり、三角路地の井戸が可愛かったり、ドンズマリの家の木立がおもちゃのように楽しかったり、
天窓の形が風変わりだったり・・・私は飽きないんだけどなぁ・・・?
シュピタール門から降りて、シュピタールガッセを北へ。
この通りがそのままプレーンラインという目抜き通りになっていって、市庁舎前のマルクト広場に通じている。 この通りがこの町のメインストリートだ。
コボルッツェラー門との複雑な四叉路の所辺りの木組みの家々と塔と道筋が作り出す光景は絶対見逃せないポイントだ。
本当に美しい絵になるところで、私たちも写真を撮ってきたが、流石にこの時間になるとこの路には沢山の観光客が集まってきていて、
皆ここの写真を撮って行くようだ。
今来た方を振り返ると、降りてきたシュピタール門と下り坂になっていく細い道の先にコボルツェラー門が見えてなんとも言えず可愛い。
このまま縮小して私のドールハウス国にしちゃいたい!
この通りの店の1軒のウィンドウにこの町の丁度この場所の版画が飾られていたのに目が留まって「素敵ね?」と言っていたら、 ドァが開いてスケッチブック氏が手招き。(奥様はお昼寝中とか・・・信じられない!)
「ここのご主人が自分で描いているんだって。今お話していたら覗いているのが見えたので・・・良いのがあるよ。」
彼も数枚買ったのを持っていたが、「お高いのでは?」と用心しながらお値段を見たらなんとお手頃。
散々迷って私は自分の記念に一枚拾い出し、彼女も散々迷って2人のお嬢さんへのお土産を見つけ出した。
色あせない邪魔にならない良いお土産でした!
直ぐ近くには何軒もの「シュネーバル」のお店があって、 「この小さな町に同じお菓子の店がこんなにあって成り立っているのなら美味しいんじゃない?」
「シュネーバル」というのはローテンブルク名物でスノーボール・雪の玉という意味のドーナツに似たお菓子とは前もって調べていたけれど、 この店がこんなに何軒もあるとは行って見てのびっくり。
しかも一つが拳骨ほどもある大きさ。
「試してみよう?」は当然、好奇心だらけの私の言うことでしょ?
で、チョコレートをかけたのとスノーボールだから真っ白のを一つづつ買いこんで半分ずつ食べてみました。
「ふん、悪くないわね?」
「お土産に出来るほど日持ちするかな?」
心配することはありませんでした。お店にはなんと日本語の張り紙。
「2週間日持ちします。」観光地だわ!
だから私は半分の大きさのシュネーバルを売っているお店を見つけた時に「4種類ずつのを2包み作ってください。」と買い込みました。
後ろで見ていた彼女も「セイム・ミー・ツー」
プレーンラインをそのまま色々なお店を覗きつつ、 それぞれにユニークで可愛らしい意匠を凝らしたお店の看板を見つつ、マルクト広場まで戻りました。
このローテンブルクのプレーンラインのマルクト広場近くがシュミッジガッセ(鍛冶屋小路)という名の通りで、ここの看板は見ものだと 「地球の歩き方」の特集記事で読んでいたから、見逃せません。
私たちのホテルの看板もライオンの図柄で格好良かったけれど、この通りでも幾つもの看板を見ることが出来ました。 あちこちの路地にも素敵な看板をぶら下げた店があって、これを見て歩くのも楽しかった。
(さて、下に看板写真大集合)
シュミッジガッセの中ほどに中世犯罪博物館を見つけ、「入る?」 「入ってもいいわよ。」
入り口にはさらし刑の木枠があって、首と手首を穴から出してさらし刑スタイル?で記念写真を撮れる。
「撮ってあげるわよ。」と言われて、素直にさらし刑になったが、彼女のカメラで撮ってもらっちゃったのが失敗。
彼女にも撮ろうと言ったのだが、彼女は固辞。
面白い記念写真になると思うのだが、旅が終って別かれるときに「可愛く取れている写真あったら送るわよ。」
「可愛くなくても私が写っていたら頂戴よ。記念だもの。私も送るからね。」と言ったにも関わらず、 その写真はとうとう送られてきませんでした。
よっぽど悪人面に写っていた?
余り気持ちのいい博物館ではなかったけれど、奇妙なものがいっぱい。
そこそこの時間を費やして出たら、なんと土砂降り!
今朝のあの青空はどこへ?雨具など持っているはずないでしょ?
丁度お昼だし、「一番近くのレストランに駆け込もう。」と、通りを覗いたら直ぐ突き当たりにレストランの看板。 店の前のテラスの日傘は哀れだけれど、ピンクの壁が悪くない?・・・というわけで駆け込む。
飛び込んだ先のメニューを見れば「ローター・ハーン」
偶然にしてはラッキー!マイスタートルンクの伝説で有名なヌッシュ市長さんの家。600年前の木組みの部分も残る歴史的な店だった。
ほら、着いた日に見た市議宴会館の仕掛け時計の右窓はそのヌッシュさんがワインを飲み干しているところだったじゃないですか。
この雨じゃじたばたしてもね・・・と、トマトとモッツェレラチーズのサンドとオレンジジュースの簡単な昼食をユックリ頂いた。 気持ちの良い店だったしね。
食べて出てみたら殆どやんで青空も向こうに見えていたが、午後のタウパー渓谷行きに備えてホテルへ雨具を取りに帰ることにした。 小さな町なのがありがたいわね。流石にここでは「コンビニでビニール傘」とはいきません。
渓谷ツァーは10人ばかりが参加。坂道を大分下るということで年配の方々は見合わせた様子。でも実際はそんなに距離も無く、 坂も案ずるほどでもなかった。さっき歩いた道を反対にコボルツェラー門までもどり、門から城外へ出てくねくねした路をドッペル橋まで下る。
石造りの重厚な質実剛健な大橋がタウパー川に架かっている。
その下をさっきの2時間ほどの間に降った豪雨の影響もあるのか?激しい流れが轟音を立てて流れて行く。
渓谷の緑は雨に洗われていかにも新緑といった美しさで、雨がラッキーだったかも?
確かにここから見上げるとローテンブルクの門塔や教会の塔が美しく見えた
。
ただ橋の上にいると、どうのぞきこんでも写真で見たドッペル橋(二重橋)の姿は見られない。 川を渡ってさらに下手に行って橋そのものを見上げないとここからの本当の景観は見られないようだ。中途半端なタウパー渓谷行きだったと残念。 コボルツェラー門へ戻ったところで解散。
私たちはまたシュミッジガッセを中世犯罪博物館まで戻りブルクガッセへ折れる。ここは落ち着いた静かな町で住民のものという感じ。
ブルク門に至り、ブルク公園へと入る。
雨がまたしとしとして折角のタウパー側の上に突き出した町の鼻のような美しい公園には人気がない。
ブルク門を潜りHerrngasseへ抜け、
フランツェスカーナ教会の前を通り、この商店街の店を次々に覗いていく。
リヒトホイザーと呼ばれる陶器の蝋燭立てで木組みの家や教会などの形をした物を置いてある店が多い。
とても可愛らしいのだが割れ物だから私は見て楽しむだけ。彼女は緑の屋根の可愛らしい家を一つ買った。
この通りにはケーテ・ヴォルハールトというクリスマス商品の大型店があって、クリスマス・ミュージアムを兼ねていると言うので、 その店に行った。
そこに同じツァーの人が集合したみたいで、皆さんオーナメントを物色していた。
「孫にね。」と、可愛らしいきらきらしたものを籠に入れたおじいちゃまが恥ずかしそうに言い訳?したり。5月に束の間のクリスマス気分! 可愛らしさと華やかさとお祭気分とがいっぱいだった。
冬の絵葉書でX’ mas 気分になりましょう?
夕飯を取ろうかと相談していたお店もこの近くなので場所を確認して、ぷらぷら歩いてゆくとまたマルクト広場。ここでまた雨。
「さて、どっちへ行こう?」
「雨だし、ちょっと疲れたわよ。」
「じゃァ、どこかでお茶にする?」
「お腹空いていないよ。近いんだからホテルで一休みしよう。」
だからちょっと大回りさせて(といってもこの町は直ぐ端っこに着いちゃう)、Hafengasseを通り、
マルクス塔を潜りParadeisgasseへ折れ、
ヴァイサー塔を潜るともうホテルの前。
「あなたは東京だから歩かなくちゃしょうがないけど、私はいつも車が足なんだからね。」と言った彼女はあっという間に寝てしまいました。
だから、私はこのノートを書いていたのでございます。
頭の中にはもったいないお化けが右往左往!
1時間後、六時半、雨はすっかり上がって、道路もすっかり乾ききり、空はブルー!
だからさっきの時間を取り戻すべく「可愛らしいお店を見ながらユックリ行きましょうよ。」と、お腹の空かない連れ合いを鼓舞したのに、 お店は殆ど6時閉店!観光地なのになんてことでしょう!
マルクト広場まで行くと、市庁舎の前で可愛らしい女の子に捕まりました。
彼女の持っていた日本語の札には「マイスタートルンクのバッチを買ってください。この寄付で衣装を作ります。」と書いてありました。
バッチを買って、写真を撮らせてもらって、見ると、祭の衣装を着た人たちが広場に三々五々集っていました。祭の練習日?
夕飯の目的地はさっきのブルク門とフランチェスカーナ教会の間の路地にある「クロスター・シュテーブレ」というレストラン。
ホテル兼のドイツ料理が美味しいと本で読んだ店。
何しろ今日の目的はこのシーズンのホワイトアスパラガス!
結果、このツァーでの私の最高点を捧げます!店の感じも、ウェイトレスさんも(最高よ彼女)、料理のお味も、盛り付けの美しさも、お値段も!
!!
飲めない私がすっかり美味しい料理に釣られて飲んでしまいました、ワイン!
満足感でいっぱいの私はデザートを聞きに来たウェートレスさん (彼女はアスパラカスサラダを注文した私に二人で一皿シェアで十分と言いました)に
「アイスクリーム」、彼女は「チェック・プリーズ」同時に!
ウェートレスさんは笑って「ワンアイス・ツゥスプーンでいかが?」
勿論サンキューですよね。いちごをたっぷり添えたたまねぎと長ネギ? のスライスで和えたホワイトアスパラカスは見た目も美味しさも抜群でしたし、 ぷっくり丸まるのソーセージはこんがり程よい色に焼けてジューシーブッチュンでしたし、2スプーン?のアイスは嘘! ってほどたっぷりでおいしくて彼女も文句を言わず綺麗に平らげたし・・・帰る時は隣の席の地元の人たちがバーイ! って手を振ってにっこりしてくれるし・・・私もにっこりの最高の気分での帰り道でした!
コメント
ドイツは一度も訪れたことがなく、娘が成長したらいつかは家族旅行で行きたいと思っております。それまではこのブログを見て感動します。
お洒落なオヤジ said... | 2008年02月11日 18:46